仕入れは売り上げの何パーセントにすべき?仕入れ率の目安と利益を残す考え方
最終更新日:2026.07.16
物販を始めるときに、多くの方が悩むのが「仕入れは売り上げの何パーセントにすべきか」という点です。商品が売れていても、仕入れ率が高すぎると手元に利益が残りにくくなります。反対に、仕入れ率を下げることだけを重視すると、商品の品質や見栄えが落ち、販売価格に見合った価値を感じてもらいにくくなることもあります。特に、店舗やブランド、学校、観光施設、地域団体などで販売用のオリジナルグッズを作る場合は、単に「安く仕入れる」だけでは不十分です。商品本体の価格に加えて、名入れ・印刷・加工費、梱包費、送料、販売手数料、在庫リスクまで含めて考える必要があります。
本記事では、仕入れ率の基本的な考え方や計算方法、売上に対する仕入れの目安、利益を残すための価格設定について解説します。あわせて、オリジナルグッズを販売品として制作する際に意識したいポイントも紹介します。
このコラムの要点: 仕入れ率は売上に対する仕入れ原価の割合を示す指標です。 本記事では、仕入れ率の計算方法や原価率・粗利率との違い、売上の何%を目安にすべきか、販売用オリジナルグッズで利益を残すための価格設計を解説します。
- 基本知識:仕入れ率の計算式、原価率・粗利率との違いをわかりやすく解説
- 目安:小売業では仕入れ率60〜70%前後を一つの参考値として紹介
- 実践ポイント:販売価格・制作数量・印刷費・在庫リスクをふまえた利益設計を解説
仕入れ率とは?
仕入れ率とは、売上に対して仕入れ原価がどのくらいの割合を占めているかを示す指標です。物販においては、利益を考えるうえで非常に重要な数字です。
計算式は以下の通りです。
| 仕入れ率=仕入れ原価 ÷ 売上 × 100 |
たとえば、1,000円で販売する商品を600円で仕入れた場合、仕入れ率は60%です。
| 600円 ÷ 1,000円 × 100=60% |
この場合、売上1,000円のうち600円が仕入れにかかっており、残りの400円が粗利になります。ここから送料、梱包資材費、決済手数料、広告費、人件費などを差し引いた金額が、最終的な利益に近づいていきます。
粗利は、一般的に「売上高-売上原価」で計算される利益を指します。
仕入れ率・原価率・粗利率の違い
仕入れ率と似た言葉に「原価率」や「粗利率」があります。どれも利益を考えるうえで重要ですが、意味は少し異なります。仕入れ率は、売上に対して商品の仕入れにかかった費用がどの程度を占めるかを示すものです。既製品を仕入れて販売する場合は、仕入れ価格をもとに計算します。原価率は、商品を販売するために直接かかった原価の割合を指すことが多いです。オリジナルグッズの場合は、商品本体代だけでなく、印刷費や加工費などを含めて考えると実態に近くなります。
粗利率は、売上に対して粗利がどのくらい残るかを示す割合です。
| 粗利率=粗利 ÷ 売上 × 100 |
仕入れ率が60%であれば、単純計算では粗利率は40%です。ただし、これは仕入れ原価以外の費用を考慮する前の数字です。実際の利益を考える場合は、販売にかかるその他のコストも忘れずに確認しましょう。
仕入れは売り上げの何パーセントが目安?
結論から言うと、仕入れ率に「すべての業種・商品に共通する正解」はありません。販売する商品、業種、販売チャネル、在庫回転率、必要な利益率によって適正な仕入れ率は変わります。ただし、小売業の目安としては、仕入れ率60〜70%前後が一つの参考になります。
中小企業庁の「中小企業の経営指標」では、小売業総平均の売上高対総利益率が28.9%と示されています。これは、売上に対して総利益が約28.9%という意味であり、単純に逆算すると売上原価にあたる部分は約71.1%となります。一方、同じ中小企業庁の小売業に関する別表では、売上高対総利益率が37.6%、37.7%、39.0%といった数値も示されています。この場合、売上原価にあたる部分はおおよそ61〜62%前後となります。
つまり、小売業全体で見ると、仕入れ率はおおむね60〜70%台が参考値になります。ただし、これはあくまで統計上の目安です。実際には、商品カテゴリや販売方法によって大きく変わります。たとえば、低単価で回転率の高い商品は、仕入れ率が高めでも販売数量で利益を積み上げられる場合があります。反対に、販売数が限られる商品や在庫リスクが高い商品では、仕入れ率を低めに設計しないと利益が残りにくくなります。
仕入れ率だけで判断してはいけない理由
仕入れ率は重要な指標ですが、仕入れ率だけを見て商品を選ぶのは危険です。なぜなら、実際の利益は「仕入れ率」「販売価格」「販売数量」「在庫回転」「販売コスト」の組み合わせで決まるためです。たとえば、仕入れ率50%の商品があったとしても、販売数が少なければ総利益は大きくなりません。100個仕入れて20個しか売れなかった場合、残り80個は在庫になります。値下げ販売や廃棄が必要になれば、当初想定していた利益は大きく下がります。一方で、仕入れ率70%の商品でも、販売数が多く、短期間で売り切れる商品であれば、利益を安定して積み上げられる可能性があります。特に実用品や日常的に使いやすいグッズは、購入後の利用シーンが想像しやすく、販売品として検討しやすい商品です。また、ECで販売する場合は、商品原価以外にもさまざまなコストがかかります。送料、梱包資材費、決済手数料、モール手数料、広告費、撮影費、保管費などを含めると、仕入れ率だけで見た粗利よりも実際の利益は少なくなります。そのため、仕入れ率は「利益を考えるための入口」として捉え、最終的には販売にかかる全体コストを含めて判断することが大切です。
仕入れ率を決める基本手順
仕入れ率を決めるときは、先に「いくらで仕入れられるか」を見るのではなく、「いくらで販売し、どのくらい利益を残したいか」から逆算するのがおすすめです。
1. 目標粗利率を決める
まずは、商品ごとに目標とする粗利率を決めます。たとえば、粗利率30%を確保したい場合、仕入れ率は70%以下が目安になります。粗利率40%を確保したい場合は、仕入れ率60%以下が目安です。ただし、ここでいう粗利率はあくまで商品原価ベースの数字です。送料や販売手数料、広告費などを差し引いた後にも利益を残したい場合は、もう少し余裕を持った粗利設計が必要です。
2. 販売価格から原価上限を逆算する
次に、販売価格から許容できる原価を逆算します。
たとえば、販売価格を1,500円に設定し、粗利率40%を確保したい場合、原価上限は900円です。
| 1,500円 × 60%=900円 |
この場合、商品本体代、印刷費、加工費などを含めて900円以内に収められれば、粗利率40%を確保できます。販売価格を先に決めず、仕入れ価格だけを見て商品を選ぶと、後から「適正価格では売りにくい」「値下げすると利益が残らない」といった問題が起こりやすくなります。
3. 最低販売数と在庫リスクを確認する
最後に、何個売れれば利益が出るのかを確認します。オリジナルグッズの場合、制作数量が増えるほど1個あたりの単価を抑えやすい一方で、在庫リスクも大きくなります。100個作って100個売り切れる場合と、100個作って50個しか売れない場合では、実質的な利益は大きく変わります。初めて販売する商品であれば、最初から大量に作るのではなく、小ロットでテスト販売し、売れ行きを見ながら追加制作を検討する方法も有効です。
仕入れ率のシミュレーション
販売価格1,000円の商品を例に、仕入れ率ごとの粗利を見てみましょう。
| 仕入れ率 | 原価 | 粗利 | 粗利率 |
|---|---|---|---|
| 50% | 500円 | 500円 | 50% |
| 60% | 600円 | 400円 | 40% |
| 70% | 700円 | 300円 | 30% |
| 80% | 800円 | 200円 | 20% |
仕入れ率が50%であれば、1個売れるごとに500円の粗利が残ります。一方、仕入れ率80%では粗利は200円です。ここからさらに送料や手数料、梱包費、広告費などがかかる場合、仕入れ率80%の商品では利益がほとんど残らない可能性があります。特に少量販売やEC販売では、販売に付随するコストを加味したうえで価格を決めることが重要です。
販売用オリジナルグッズの仕入れ率を考えるポイント
店舗やブランド、学校、観光施設、地域団体などで販売用のオリジナルグッズを作る場合は、通常の仕入れ商品とは少し考え方が異なります。既製品をそのまま仕入れて販売するのではなく、商品にロゴやデザインを入れて販売するため、本体代に加えて印刷費や加工費が発生します。そのため、仕入れ率を考えるときは「本体代だけ」ではなく、「販売できる状態にするまでの原価」で見る必要があります。
たとえば、トートバッグを販売用グッズとして作る場合、原価には以下のような費用が含まれます。
- ・商品本体代
- ・印刷費
- ・版代やデータ作成費が発生する場合の費用
- ・梱包費
- ・送料
- ・販売手数料
- ・保管費
このうち、商品本体代と印刷費だけを見て価格設定すると、実際に販売した後の利益が想定より少なくなることがあります。オリジナルグッズドットコムでは、物販向けのオリジナルグッズや小ロットOEM、記念品制作に活用できるECサイトとして、タンブラーやポーチ、オーガニック・再生素材・フェアトレード商品などを取り扱っています。 また、オリジナルのプリントを入れたグッズ制作に対応し、無地サンプルは1個から、商品は最小ロット30個、一部商品は1個から注文できます。販売品としてオリジナルグッズを作る場合は、まず少量で需要を確認し、売れ筋が見えてから追加制作することで、在庫リスクを抑えながら利益設計をしやすくなります。
仕入れ率を下げる方法
仕入れ率を下げるには、単に安い商品を選ぶだけでなく、販売価格に対して利益が残る設計にすることが大切です。
制作数量を見直す
多くの商品では、制作数量が増えるほど1個あたりの単価が下がりやすくなります。特に印刷や加工を行う商品は、固定費が数量で分散されるため、ロットを増やすことで単価を抑えられる場合があります。ただし、数量を増やせば必ずよいわけではありません。売れ残りが発生すれば、保管費や値下げリスクが高まります。販売見込みがある商品は数量を増やし、初回販売の商品は小ロットで始めるなど、商品ごとに判断しましょう。
定番性のある商品を選ぶ
販売用グッズでは、日常的に使いやすい商品を選ぶことも重要です。バッグ、ポーチ、タオル、ボトル、マグカップ、文具などは、使用シーンがわかりやすく、店舗やブランドの販売品として展開しやすいアイテムです。奇抜な商品は話題性を作りやすい一方で、購入者が限られることもあります。安定して販売したい場合は、実用性があり、デザインを入れることで価値を高められる商品を選ぶとよいでしょう。
印刷方法や印刷範囲を調整する
オリジナルグッズの原価は、印刷方法や印刷範囲によっても変わります。フルカラー印刷、広範囲印刷、複数箇所印刷などは、商品によって費用が上がる場合があります。販売価格とのバランスを見ながら、必要以上にコストが上がらない仕様を選ぶことも大切です。ロゴをワンポイントで入れるだけでも、ブランド感やオリジナル性を出せる場合があります。
複数の商品を比較する
同じ用途の商品でも、本体価格や印刷費は異なります。たとえば、同じバッグ類でも、素材、サイズ、厚み、印刷方法によって原価は変わります。「売れそうな商品」だけでなく、「販売価格に対して利益が残る商品」を選ぶことが重要です。似た用途の商品を複数比較し、仕入れ率と販売しやすさのバランスを見ながら選定しましょう。
仕入れ率を考えるときの注意点
仕入れ率を考える際には、いくつか注意したいポイントがあります。
安い商品が必ず利益を出すとは限らない
仕入れ価格が安い商品は、粗利率を高めやすいというメリットがあります。しかし、品質や見た目が販売価格に見合っていなければ、購入につながりにくくなります。特に販売品の場合、購入者は「お金を払って買う価値があるか」を見ています。安さだけで商品を選ぶと、ブランドや店舗の印象を下げてしまう可能性もあります。
高単価商品は粗利額で見る
仕入れ率が高くても、販売価格が高い商品であれば、1個あたりの粗利額が大きくなる場合があります。たとえば、販売価格1,000円で粗利率40%の商品は、粗利400円です。一方、販売価格3,000円で粗利率30%の商品は、粗利900円です。粗利率だけを見ると前者の方が高く見えますが、1個あたりの利益額は後者の方が大きくなります。
そのため、仕入れ率だけでなく、粗利額もあわせて確認することが大切です。
値下げ販売を想定しておく
販売品は、必ず定価で売り切れるとは限りません。季節商品や限定商品、在庫数の多い商品は、販売期間の後半に値下げが必要になることもあります。最初から値下げの可能性を見込んで価格設計しておくと、セール時にも利益を残しやすくなります。定価販売時の粗利だけでなく、20%OFF、30%OFFにした場合の利益も確認しておくと安心です。
仕入れ率は商品ごとの役割で変える
すべての商品を同じ仕入れ率で考える必要はありません。販売用グッズには、商品ごとに役割があります。たとえば、集客用の商品は利益率をやや低めに設定し、購入のきっかけを作る役割を持たせることがあります。一方で、ブランド感のある高付加価値商品は、しっかり粗利を確保する設計にすることが重要です。また、定番商品は安定販売を重視し、季節商品は販売期間や在庫リスクを考慮して仕入れ率を調整する必要があります。
このように、仕入れ率は一律で決めるのではなく、商品の役割ごとに設計することがポイントです。
オリジナルグッズ制作では「価格に納得できる価値」を作ることが重要
販売用オリジナルグッズで利益を残すには、仕入れ率を下げるだけでなく、販売価格に納得してもらえる価値を作ることが大切です。たとえば、店舗ロゴを入れたトートバッグ、地域名をデザインしたタンブラー、学校名を入れた記念グッズ、ブランドらしさを表現したポーチなどは、既製品にはない独自性を出しやすい商品です。購入者にとって「ここでしか買えない」「デザインがよい」「日常で使いやすい」と感じられる商品であれば、単なる価格比較ではなく、価値で選ばれやすくなります。
オリジナルグッズは、0から完全に商品を開発するだけが方法ではありません。既製品に名入れや印刷を行うことで、比較的取り組みやすく、販売品として展開しやすいオリジナル商品を作ることができます。
まとめ|仕入れ率は利益設計から逆算して決める
仕入れ率とは、売上に対して仕入れ原価がどのくらいを占めるかを示す指標です。小売業では、統計上の売上高対総利益率から逆算すると、仕入れ率60〜70%前後が一つの目安になります。ただし、これはあくまで参考値であり、商品カテゴリや販売方法、在庫リスクによって適正な仕入れ率は変わります。販売用オリジナルグッズを制作する場合は、商品本体代だけでなく、印刷費、加工費、送料、梱包費、販売手数料、在庫リスクまで含めて考えることが重要です。仕入れ率を決める際は、まず販売価格と目標粗利率を決め、そこから許容できる原価を逆算しましょう。さらに、販売数量や値下げリスクも考慮することで、売上だけでなく利益を残しやすい商品設計ができます。
オリジナルグッズドットコムでは、物販品・販売品として活用しやすいグッズに名入れや印刷を行い、オリジナルグッズとして制作できます。仕入れ率を意識しながら、販売価格に見合う価値を持った商品を選び、利益の残るグッズ販売につなげましょう。