オリジナルグッズ販売は法律に要注意!違法になる具体例を解説
最終更新日:2024.10.31
オリジナルグッズを制作・販売する際には、いくつかの法律が関わります。しかし、具体的にどのような法律が関係し、どのようなことをしてはいけないのかを詳しくご存知ない方も多いのではないでしょうか。知らずに違法行為をしてしまった場合、販売が差し止めになるだけではなく、処罰の対象になるかもしれません。そこで今回は、オリジナルグッズ販売にあたって必ず知っておきたい法律とその注意点を、具体例を踏まえてわかりやすく解説します。オリジナルグッズとして売れるものを作る方法もお伝えしますので、ぜひご一読ください。
オリジナルグッズ販売に関連する法律
オリジナルグッズの販売には、複数の法律や規定が密接に関わっています。以下では、主な以下6つの項目を確認していきましょう。
著作権
「著作権」とは、創作物の無断使用・複製を禁止する権利のことです。作品そのものではなく、その創作者に許可権限が与えられ、死後70年先まで保護されます。著作権は本来、登録の必要なく取得できる権利です。登録をしておけば、著作権の存在を第三者に証明しやすくなります。
創作者の許可なく著作物を使用した場合、告訴により行為の差し止めや損害賠償などの民事上の損害賠償が請求されかねません。また、10年以下の懲役や1,000万円以下の罰金が科されるおそれもあります。
なお、著作権法第30条により、完全な私的空間のみでの個人もしくは家族までの利用であれば著作物の利用が認められています。しかし、着用しての外出や、撮影した写真の公開、友人・知人への配布はできません。私的利用であっても、第三者への制作依頼は禁止されています。
肖像権
「肖像権」とは、被写体が自らを写真・動画で撮影した作品の公表を制限できる権利のことです。一般市民にも適用されるプライバシーと、著名人等が持つ存在そのものの財産としての価値(パブリシティ)の両側面を持ちます。
肖像権は、法律として明文化されていないため、侵害による刑事罰は定められていません。しかし、民事上の効力が認められた判例があることから、損害賠償責任が追及される場合があります。
商標権
「商標権」とは、商品・サービス固有の識別マークを、知的財産として保護する権利のことです。正式な手続きを経て特許庁に登録された商標は、無断で使用してはいけません。商標に該当するのは、主に以下3つです。
● 商品・サービス名
● ブランドロゴ
● キャラクターのイラスト・画像
商標権侵害に当たるかどうかは、類似性や使用状態・状況など、さまざまな要素を考慮して判断されます。法律に抵触する場合、商標法により、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金です。なお、法人による商標権侵害のケースでは、3億円以下の罰金が科されます。
景品表示法
「景品表示法」とは、販売する商品の虚偽情報の掲載や、不当配布を禁止する法律です。根拠のない数値やまぎらわしい表示は、消費者の判断を誤らせ、合理的な選択を妨げるおそれがあることから禁止事項とされています。
また、景品表示法は、懸賞やノベルティ進呈にも深く関わっている法律です。特に条件を設けず先着順等で進呈するオリジナルグッズは「総付景品」に分類され、限度額が以下のとおり定められています。
【一般懸賞の限度額】
取引価額 | 景品類の最高額 |
---|---|
1,000円未満 | 200円まで |
1,000円以上 | 取引価額の10分の2 |
引用: 消費者庁|景品規制の概要
抽選やくじ等でオリジナルグッズを進呈する際は「一般懸賞」に該当し、次のルールを守らなければなりません。
【総付景品の限度額】
懸賞による取引価額 | 景品類の最高額 | |
---|---|---|
最高額 | 総額 | |
5,000円未満 | 取引価額の20倍 | 懸賞に係る売上予定総額の2% |
5,000円以上 | 10万円 |
引用: 消費者庁|景品規制の概要
懸賞の実施に複数の事業者が関わっている場合は「共同懸賞」となり、最高額は30万円まで、総額は売上予定総額の3%が限度です。
製造物責任法
「製造物責任法(PL法)」は、商品の安全性を確保し、消費者を守ることを目的として定められた法律です。商品の欠陥によって生命・身体・財産に損害を与えた場合、故意でなくとも賠償しなければなりません。
製造物責任法は、流通から10年間が適用範囲です。制作を外注していたとしても、継続的に行っていると責任に問われるおそれがあります。オリジナルグッズを制作・販売する際は、安全性への配慮を徹底しているメーカーを選びましょう。
資格・条例
オリジナルグッズは、販売に資格や許可を要するジャンルがあります。例えば、酒・食品類の販売には免許や認可、届出などが必要です。
また、大型商業施設やレジャー施設、路上などでの無断販売は禁止されています。自分の店舗や敷地以外で販売するときは、土地・建物の所有者の許可を取らなければなりません。
さらに、都道府県ごとに独自の条例が定められているケースもあるため、事前確認を徹底し、規定を遵守するよう心がけましょう。
法律違反になるオリジナルグッズの例
各法律の規定を見ただけでは、具体的にどのようなケースが違反に該当するのかわかりにくいですよね。以下では法律で禁止されている8つの行為を根拠とあわせてみていきましょう。
アニメ・マンガのキャラクターを使用する
アニメやマンガのキャラクターの無断使用は、著作権違反です。原則として、模倣や二次創作も禁止されています。参考にしただけであっても、盗用と見なされ、処罰の対象になりかねません。同じく、パロディも違反と認められる可能性があるため、無断利用は避けましょう。
観光名所の写真をデザインに用いる
建築物としての価値が認められている施設等には、著作権が認められています。よって、許可なくオリジナルグッズのデザインに使ってはいけません。
気に入ったドラマ・小説のセリフや歌詞を記載する
ドラマや小説は著作物のため、無断での使用は法律違反です。楽曲の譜面をグッズのイラストやデザインに取り入れる行為も、禁止事項に該当します。
似顔絵を描く
自分以外の人の似顔絵を勝手に描写し、商用目的に使用するのは肖像権の侵害です。オリジナルグッズに似顔絵を載せる場合は、必ず許可を取りましょう。
人が撮った写真をプリントする
プロの写真家が撮影した作品をオリジナルグッズに印刷するのは、著作権侵害にあたります。また、自分が撮影した写真でも、被写体の許可がない場合は肖像権の侵害です。アイドルやスポーツ選手をはじめとする芸能人の写真はもちろん、一般人が写った写真も使わないようにしてください。
商標登録された柄を転写する
ブランドが独自で制作した柄は、商標登録されているケースが少なくありません。商標登録された柄の模写は、商標権の侵害にあたるため注意しましょう。なお、チェックや水玉など、一般的な模様の使用ならば問題ありません。
ブランドのロゴマークに手を加えてオマージュする
オマージュは、商標権の侵害と見なされるケースがあります。登録者である企業から、差止や損害賠償が請求される可能性があるため、避けるほうが無難でしょう。
商品説明に根拠なく「日本一」や「限定」などと表記する
明確な根拠のない誇大表示・表現は、景品表示法違反です。商品説明には、正確な情報のみ記載してください。
オリジナルグッズとして売れるものを作る3つの方法
グッズ制作には、法律や規定によりさまざまな制限が課されています。以下では、法律上問題なく販売するための3つの方法を解説しますので、オリジナルグッズ制作の際の参考にしてください。
完全オリジナルのデザインを考える
自ら考案したイラスト・キャラクターや文言は、オリジナルグッズのデザインに問題なく使用できます。既存のデザインを参考にする行為自体は構いませんが、盗作や二次創作と見なされないよう十分に注意しましょう。
使用許可を取得する
著作物であっても、使用許可を取ればオリジナルグッズのデザインに取り入れられます。許可申請の際は、具体的な用途や使用箇所などを詳細に報告したうえ、規定の使用料を支払うのが一般的な流れです。やり取りにおけるトラブルを避けるため、口頭ではなく文書で記録に残すようにしましょう。
フリー素材を利用する
フリー素材とは、使用の際に著作者の許可や使用料が必要ない作品のことです。また、製作者の没後70年を経過した作品も、著作権の適用範囲外とされています。ただし、フリー素材とはいえ、どのように使用してもよいわけではありません。提供元によってそれぞれ規約が定められているため、ルールを守って使用しましょう。
まとめ
オリジナルグッズは、関連する法律上のルールを正しく理解したうえで制作・販売してください。パロディやオマージュなど、違法かどうかの判断が難しい行為も避けるほうが無難です。完全オリジナルやフリー素材でない既存のデザインを取り入れるときは、必ず正式な手続きを経て許可を申請しましょう。
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