
ホテルの防災対応はどうする?宿泊施設の危機管理・備蓄品の手引き
最終更新日:2025.05.07
各地で災害や事故が発生しているいま、ホテルには防災危機管理の徹底が求められています。しかし、火災や地震に対する備えが大切なことは理解しているものの、実際にどうすればよいか分からず困っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ホテルにおける防災への危機管理のやり方と対策、館内に備えておくべき備蓄品について解説します。
ホテルにおける防災の危機管理の基本

まず、以下3つの項目に分け、ホテルにおける防災の危機管理の基本を確認していきましょう。
● 従業員へ向けた対応
● 宿泊客へ向けた対応
● 避難者へ向けた対応
従業員へ向けた対応
ホテルにおける防災危機管理の要となるのが従業員教育です。有事の際、すみやかに対応できる体制を整えるには、従業員の防災に関する知識を深め、それぞれの役割を確実に果たせるようにしなければなりません。定期的な防災・避難訓練で従業員一人ひとりの防災意識を高めるとともに、スムーズな避難の動線づくりが必要です。
宿泊客へ向けた対応
宿泊客へ向けては、チェックイン時における呼びかけや室内・館内への看板・案内の設置によって防災意識を喚起します。また災害発生時の問い合わせ対応に備え、担当者や専門窓口を設置しておくとよいでしょう。
避難者へ向けた対応
災害発生時にはホテルが避難所となるケースも多いため、対避難者への対応に備えておくことも大切です。解放するフロアや設備の選定や、飲食物の備蓄などを進め、避難者をスムーズに受け入れられる体制を整えておく必要があります。
ホテルが取り組むべき7つの防災対策

ホテルの防災危機管理体制を強化するには、次の7つの対策が求められます。
● 防火・防災管理者を任命する
● 災害対策本部を組織する
● 火災・地震発生時の対応マニュアルを作成する
● 適マーク制度の認証を取得する
● 避難訓練を実施する
● 館内に防煙避難グッズを設置する
● 備蓄品を準備する
防火・防災管理者を任命する
防災管理制度により、ホテルでは防火・防災管理者の選任と、消防計画の作成・届出を要します。防火・防災管理者とは、防災訓練および火事・災害時の現場の管理・監督を行う役割を担う存在です。一定の条件を満たす学識経験者以外は、防災管理講習を受けることで防火・防災管理者の資格が得られます。
災害対策本部を組織する
災害発生時には、ホテルの従業員が現場に残留し、人命救助や避難環境の確保、被害情報の把握を行わなければなりません。あらかじめ詐害対策本部を組織しておくことで、すみやかな指示統制と情報収集が可能になります。
火災・地震発生時の対応マニュアルを作成する
災害の対応マニュアルがあれば、有事の際にも安心です。マニュアル化すべき内容として、災害発生時の対応と安否・安全確認の手順、事前対策などが挙げられます。火災や地震、津波など災害の種類によって適切な対応が異なるため、それぞれ作成しておきましょう。
適マーク制度の認証を取得する
「適マーク制度」とは、消防に関する建築基準が満たされている建物であることを証明する認証制度です。適マークには制度への適合を示す銀色と、表示基準を3年以上満たしていることを証明する金色の2種類があります。適マークを取得・掲示しておくことで、ホテルの利用者に安心が提供できるでしょう。
避難訓練を実施する
災害時の初動を早め、被害を最小限に食い止めるには、避難訓練が大切です。定期的に防災訓練を実施し、スピーディーかつスムーズな避難の動線を確認しておきましょう。またスタッフ、宿泊客はもちろん、入居テナントへの災害対応の周知徹底も必要です。
館内に防煙避難グッズを設置する
火災発生時の煙や有毒ガスによる被害防止には、防炎避難グッズの活用が推奨されます。防煙フードや防煙ハンカチ、スモークブロックなどの専用グッズをホテル館内の各所に設置することで、利用客および従業員の命が守れます。
備蓄品を準備する
ホテルには、利用者や従業員、避難者が家に帰れるまで安心して過ごせるだけの防災備蓄が必要です。防災備蓄品の具体例は、飲料水・食品や毛布、簡易トイレなど。飲食物は3日分、毛布は1〜2人で1枚、消耗品は1日あたり5回分が最低限必要な備蓄量です。
ホテルが備えておくべき防災グッズ13選
ここからは、ホテルが備えておくべき13の防災備蓄品を紹介します。
ウォーターバッグ
災害発生時の命綱となるのが飲料水です。防災備蓄としてウォーターバッグを用意しておけば、いざというときでも安心して過ごせます。
簡易トイレ
トイレ問題は、避難生活で最も深刻ともいわれるトラブルです。災害時には水が止まることも多いため、簡易トイレを備蓄しておけば、トイレ問題が解消できるでしょう。
モバイルバッテリー
避難時にはスマートフォンといった通信機器の使用頻度が高まります。充電切れに備え、モバイルバッテリー・チャージャーを備蓄し、貸し出せるようにしておきましょう。災害時には、乾電池式やソーラー式のモバイルバッテリー・チャージャーが最適です。
ライト・ランタン
災害時・避難時の光源には、ライトやランタンが大活躍します。火を使わないので、二次被害の心配もありません。
防寒・暑さ対策グッズ
災害時、夏でも夜は気温が下がるので防寒具の備蓄が必須です。また高温と水分不足によるによる熱中症を防ぐため、暑さ対策グッズも備えておくとよいでしょう。
タオル・手ぬぐい
個包装になったタオルや手ぬぐいは、災害時にあると便利なグッズの一つ。汗や汚れを拭くのはもちろん、簡易防寒・暑さ対策グッズなど多用途に使えるので、多めに備蓄しておくことをおすすめします。
レジャーシート
災害時には床に割れたものが散乱することが多いため、レジャーシートがあると安全です。避難所のスペース区分けや、防寒具としても活用できます。
ホイッスル
ホイッスルは災害備蓄の定番品です。災害時にはケガや周辺の状況で大声が出せないときでも居場所を知らせられるので、室内や館内に設置しておけば、迅速な救助につながります。
ラジオ
ラジオは避難生活の重要な情報源となります。備蓄品には、災害に強いFM周波数で、充電機能がついていたり、ライトとして使えたりなど多機能なラジオが便利です。
カトラリー
ホテルの防災備蓄リストには、マルチに使えるカトラリーを入れておきましょう。災害時の食事の衛生管理と、ティッシュなどの消耗品が節約できます。
筆記用具
筆記用具は国が示す「災害の『備え』チェックリスト」に含まれる防災グッズの一つであり、電子機器が使えないときに活躍します。災害備蓄には、水に強い油性ペンや防水・耐水メモ、ホイッスルつきなどの筆記用具がおすすめです。
娯楽品
ホテルでは、災害時にもおもてなしの心を忘れないことが大切です。簡単な娯楽品やリフレッシュグッズを備えておけば、避難生活を気持ちよく過ごしてもらえるでしょう。
防災用品セット
ホテルの防災対策には、防災用品セットの導入もおすすめです。必要な防災備蓄がひとまとめになっているので、室内などに設置しておけば防災対策が強化できます。
まとめ
防災グッズは、災害発生時のライフラインです。避難訓練やマニュアルの作成と併せて、防災備蓄を準備しておくことで、有事のときでも安心して過ごしてもらえる環境が整います。
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